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分子細胞生物学事典

今注目のiPS細胞の開発をはじめ進展著しい分子生物学。 その基礎から応用までを236の中項目形式で詳述!

分子細胞生物学事典

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   紙書籍 
村上康文(東京理科大学基礎工学部・教授)編著
執筆者一覧
[みみずく舎:発行]
A5判,580頁,1色刷
2013/01/29発行
¥13,200(本体¥12,000+税¥1,200)
ISBN 978-4-86399-169-9
現象・事象等を解説した〈事典〉と用語の定義等中心の〈辞典〉の性格を兼ね備えた,新しい中項目形式の事典。
医学・生物学から薬学・農学,さらには工学領域において重要かつ基礎的な知識・概念236項目を収載。
今注目のiPS細胞をはじめ,分子細胞生物学におけるさまざまな事象・現象・概念・応用面等を平易に解説。その他,分子細胞生物学領域の第一線で研究・教育に携わる編者・著者による,ホットな情報が満載。
学生だけでなく,専門家や専門外の研究者・技術者が広範な分子細胞生物学領域の知識を得る際に必要最小限の知識を提供。

はじめに
 21世紀の生物学を特徴づけるものとして,ヒトゲノム解析の完了をあげることができます。ヒトゲノム解析の完了後も,さまざまな生物種のゲノム配列解析は怒濤のような勢いで進んでおり,ついには個々人のゲノム配列を解読しようというパーソナルゲノム解析時代が目前に迫っています。すでに分子生物学分野においてはゲノム解析データが存在することを前提として研究を進めることが当たり前になっています。
 生命現象を分子のレベルで解明しようという分子生物学にも,そのインパクトは波及し,その結果,ゲノム解析情報を活用したさまざまな新たなアプローチも可能となりました。従来は,一度分化してしまえば分化状態をリセットすることが不可能であると考えられていた動物細胞でも,植物細胞同様に分化状態をリセットすることができるようになったことは大きな驚きです。
 このようなことが可能となったのは,ゲノム解析情報を活用して開発されたDNAマイクロアレイ技術等が実用化されたことが最大の要因であるものと考えられます。このように,分子生物学も大きな変革期を迎えているということができます。
 このような時代の流れを見据え,分子生物学分野における重要な概念や,実験方法,そして基本的な原理を網羅した事典を出版しようという構想を数年前に考え,それぞれの研究分野において活躍している最先端の研究者に各項目の執筆を依頼した時点から,本事典の作成が開始されました。
 特に考慮したことは,単なる用語の説明ではなく,各項目についてある程度のスペースを割いて,基本原理から応用的な部分まで自由に解説してもらうという点でした。各項目の長さを無理に合わせるということはあえて行わず,小項目の辞典というよりも中項目を詳述する事典の体裁を目指しました。基本的な概念を速やかに理解するためには一定の紙数が必要であり,その分,項目数は減少しますが,各項目についての理解が深まります。
 今後,生物学以外の分野においても分子生物学の知識,そして基本的な考え方を理解することが一層重要になるものと思います。異分野の研究者・知識人が読んでも大づかみにポイントを把握できることを一つの目標として編集しました。
 このような意図を十分理解していただき,本事典を活用していただければと思います。また,日々進展していく分子生物学の展開を理解する一助にしていただければ幸いです。
 2012年12月

編者 村上康文  

目次
Ⅰ.細胞レベルの分子生物学
1.細胞の構造と機能
 原核生物
 真核生物
 古細菌
 動物細胞の構造
 植物細胞の構造
 細胞質
 細胞核
 細胞膜
 原形質膜
 原形質
 サイトゾル
 細胞内小器官
 核小体
 ゴルジ体
 リボソーム
 小胞体
 リソソーム
 液胞
 ペルオキシソーム(グリオキシソーム)
 ミトコンドリア
 葉緑体
 色素体
 中心体
2.染色体・核
 DNAの構造
 RNAの構造
 アミノ酸
 タンパク質の構造
 染色体
 ヒストンタンパク質
 ヌクレオソーム構造
 クロマチン
 クロマチンリモデリング因子
 GバンドとRバンド
 核マトリックス
 核膜
 核小体の機能
 セントロメア
 テロメア
3.セントラルドグマ
 セントラルドグマ
 原核生物のDNA複製
 真核生物のDNA複製
 DNAポリメラーゼ
 原核細胞生物の転写制御機構
 真核細胞生物の転写制御機構
 RNAポリメラーゼ
 転写制御因子
 mRNA
 tRNA
 rRNA
 翻訳制御機構
 リボソームの機能
 組換えの分子機構
 DNA修復の分子機構
4.タンパク質の動態
 翻訳後修飾
 タンパク質のリン酸化
 糖鎖による修飾
 アセチル化
 ユビキチン化
 プロテアソーム
 タンパク質の局在
5.細胞骨格・細胞運動
 細胞骨格
 細胞外マトリックス
 細胞接着
 微小管
 チューブリン
 ミオシン
 ミクロフィラメント
 アクチン
 中間径フィラメント
 ストレスファイバー
 細胞運動
 エンドサイトーシス
 エキソサイトーシス
 エンドソーム
 繊毛
 鞭毛
6.細胞周期と細胞増殖
 細胞周期
 チェックポイント
 cdc変異株
 出芽酵母の細胞周期制御機構
 分裂酵母の細胞周期制御機構
 高等生物の細胞周期制御機構
 細胞の不死化
 ヘイフリックの老化モデル
 癌遺伝子
 癌抑制遺伝子
 アポトーシス
 細胞分裂
 サイクリン
 プロテインキナーゼ

Ⅱ.高度な生命機能・個体レベルの生物学
7.シグナル伝達
 内分泌と傍分泌
 ホルモン
 神経伝達物質
 受容体
 核内受容体
 Gタンパク質
 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
 酵素内在型・共役型受容体
 細胞内シグナル伝達因子
 情報伝達と発癌遺伝子
 分裂促進因子活性化キナーゼ(MAPK)
8.組織の分化
 脊椎動物の初期発生
 ホメオティック遺伝子
 幹細胞
 胚性幹細胞
 造血幹細胞
 三胚葉決定機構
 光合成
 転流と物質移送
 貯蔵物質の生合成
 種子形成と休眠
 光刺激に対する応答
 花成誘導・開花
 オルガネラ遺伝子の発現調節
 非生物的ストレスに対する応答
 生物的ストレスに対する応答
 再分化
 生長調節物質(植物ホルモン)
9.細胞接着・細胞外基質
 カドヘリンファミリー
 インテグリンファミリー
 免疫グロブリンスーパーファミリー
 セレクチンスーパーファミリー
 基底膜
 コラーゲン
 ラミニン
 エンタクチン(ナイドジェン)
 パールカン
 細胞接着装置
10.ウイルスと癌
 DNA腫瘍ウイルス
 RNA腫瘍ウイルス
 トランスフォーメーション
 レトロウイルス
 癌遺伝子
 癌抑制遺伝子
 網膜芽細胞腫
 p53 遺伝子とRb 遺伝子
 SV40ウイルスとポリオーマウイルス
 DNA腫瘍ウイルスによる発癌メカニズム
 レトロポゾン
11.脳・神経
 神経細胞の構造と機能
 脊椎動物の神経系
 哺乳類の中枢神経系
 神経系の分化
 神経活動の分子メカニズム
 学習と記憶
12.免疫学の基礎
 B細胞
 T細胞
 免疫獲得のメカニズム
 抗体
 抗体遺伝子の再構成
 B細胞受容体
 T細胞受容体
 主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
 サイトカイン

Ⅲ.モデル生物・ヒトの分子生物学
13.モデル生物としての酵母
 出芽酵母
 分裂酵母
14.モデル生物としての線虫
 線虫の特質
 線虫を用いた実験手法
 線虫ゲノムの構成
 線虫のゲノムワイドな研究
15.モデル生物としてのショウジョウバエ
 ショウジョウバエの特質
 ショウジョウバエゲノムの構成
16.モデル生物としてのマウス
 実験動物としてのマウス
 マウスゲノムの構成
 マウスのトランスクリプトーム解析
17.モデル生物としての植物
 シロイヌナズナ
 イネ
 ミヤコグサ
 ラン藻
18.ヒトの分子生物学
 ヒトゲノムの構成
 遺伝病
 多段階発癌モデル
 遺伝病原因遺伝子の同定
 ゲノム多型解析
 ハプロタイプ

Ⅳ.キーテクノロジー
19.細胞レベルの解析
 光学顕微鏡
 電子顕微鏡
 細胞の分別法
 組織培養
 培地と血清
 株化細胞
 初代培養細胞
 ストロマ細胞
 細胞周期の解析法
 細胞間相互作用
 アンチセンスDNAとアンチセンスRNA
 RNA干渉
20.遺伝子解析
 宿主とベクター
 プラスミド
 ラムダファージ
 制限酵素
 DNAリガーゼ
 核酸の修飾に用いられる酵素
 核酸の標識法
 ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)
 核酸の電気泳動
 塩基配列決定法
 自動シークエンサー
 ハイブリダイゼーション
 組換え体の作製法
 遺伝子発現解析法
 転写開始点の解析法
 遺伝地図と物理的地図
 マッピング法
 巨大DNA断片の取り扱い
21.タンパク質解析
 タンパク質の定量法
 タンパク質の染色法
 タンパク質の電気泳動
 SDS-PAGE
 2次元電気泳動法
 組換えDNA技術によるタンパク質の生産
 アミノ酸配列決定法
 質量分析装置の原理と応用
 カラムクロマトグラフィー
 タンパク質分子量決定法
 イオン交換体によるカラムクロマトグラフィー
 アフィニティクロマトグラフィー
22.網羅的解析手法
 ゲノム解析の戦略
 ショットガン法による塩基配列解析
 cDNAプロジェクト
 EST解析
 トランスクリプトーム解析
 DNAマイクロアレイ
 SAGE法
 プロテオーム解析
23.構造生物学
 タンパク質の高次構造
 核磁気共鳴法(NMR法)
 X線結晶解析
 ホモロジーモデリング
 タンパク質構造データバンク(PDB)
24.個体レベルの解析・バイオリソース
 トランスジェニックマウス
 トランスジェニック植物(形質転換植物)
 キメラ個体
 ノックアウトマウス
 国内のバイオリソースセンター
 海外のバイオリソースセンター
付録:分子生物学関連データベース

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