観察に始まり観察に終わるのが看護だと思います。つまり,みて・ふれて・きいて・といかけて集めたデータを情報に変え,アセスメントして,対象である人にどうかかわるかを考えることです。フィジカルアセスメントのためには必要な観察が適正にできて必要な情報が収集されていることが重要になります。つまり,フィジカルアセスメントの成果がどのような看護計画を立てるかの判断を導くことになり,適切なフィジカルアセスメントが看護の土台となるのです。
私たちは以前に『系統別フィジカルアセスメント:看護ケアの質の向上をめざして』を上梓いたしました。これは基礎編・実践編・まとめで構成しました。基礎編でフィジカルアセスメントの視点を示し,実践編では代表的な疾患を看護過程,回復過程を想定して,入院から退院までのプロセスの主要ポイントで,具体的な事例展開と反復自己学習ができる形式としました。臨床現場に近い実際的な実践力の自己啓発に役立つ内容とすることを目指したのです。
本書は,前書を国家試験対策「みるみる」シリーズのフィジカルアセスメント編として,焦点を絞ってまとめたものです。国試の状況設定問題を解くときに有用な,患者の状態や症状をみて,そこからまず何をすべきか,どこに注目すべきかというアセスメントに必要な理解力が身につく内容となっています。内容の大きな流れとしては,症状・病態から疑われる疾患を述べ,次に問診で確認する内容を明示し,最後に全体のフィジカルアセスメントのポイントをおさえられるようにしています。
著者の方々には,看護を学ぶ皆さんが,フィジカルアセスメントの基礎と疾患別の特徴的な観察とアセスメントの重要な点を習得できるように記述していただきました。
国家試験を目の前にした方,看護を学んでおられる方にとって必携の書として使っていただきたいと願っています。
平成24年9月
森田 孝子