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薬学生のための生物統計学入門

薬学教育モデル・コアカリキュラムに沿ったバイオスタティスティクスの教科書

薬学生のための生物統計学入門

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   紙書籍 
山村重雄(城西国際大学薬学部教授)
松林哲夫(昭和薬科大学教授)
瀧澤 毅(千葉科学大学薬学部教授)
[みみずく舎:発行]
B5判,162頁,1色刷
2009/10/26発行
¥3,740(本体¥3,400+税¥340)
ISBN 978-4-87211-970-1
薬学教育モデル・コアカリキュラム「バイオスタティスティクス」の教科書。
薬学生が将来、遭遇する薬物治療の有効性・安全性といった不確実な事象に確率・統計の知識と技能を活用できるよう平易に纏めた教科書。
本文に関連する事柄はTopicとして、また章末には内容の理解を確かめる演習問題を加えた。

はじめに
 本書は,薬学教育モデル・コアカリキュラム「C17医薬品の開発と生産 (5) バイオスタティスティクス」の教科書として執筆したものである。
 バイオスタティスティクスBiostatisticsは生物統計学と訳されるが,コアカリキュラムでは『生物統計の基礎』と『臨床への応用』を含み,薬学研究者の実験データの解析や薬剤師の医薬品の適正使用に関する情報の評価に際して必要となる生物統計学の知識・技能の習得を目的としている。

 医薬品の適正使用に関する情報の中で,有効性や安全性の情報は不確実性の高いものである。同じ薬物で治療しても効く患者と効かない患者がいる。副作用が発現する患者もしない患者もいる。このため薬物治療の評価は統計的に行う。コアカリキュラムのC15薬物治療に役立つ情報 (1) 医薬品情報 『EBM』においても 薬剤師が医薬品情報を統計的に評価できるように 到達目標が設定されている。

 医薬品の添付文書には有効率や副作用発現率,相対リスク減少率,絶対リスク減少率,オッズ比などその薬物治療の有効性や安全性を示す数値が記載されている。その数値を無批判に受け取るのではなく,その根拠となる臨床試験の実験デザイン,症例数,対象患者集団の特性を批判的に吟味し,数値の信頼性,患者への適用性を評価できることが必要である。

 一方,薬学部学生の高校までの確率・統計の履修状況をみると,数学Aの『場合の数と確率』にとどまっており,数学Bの『統計とコンピュータ』,数学Cの『確率と確率分布』,『統計処理』はほとんど履修されていない。そのため本書の前半にはその部分を含めている。

 平成20年から始まった小中高の数学学習指導要領の改訂では『資料の活用』として日常生活や社会における不確実な事象を確率・統計を用いて解決し説明することが重要視されている。本書においてもその考えかたに沿い,薬学研究者や薬剤師が遭遇する薬物治療の有効性・安全性といった不確実な事象に確率・統計の知識と技能を活用できる力を育てる教科書としたいという思いで執筆した。

 2009年9月30日 著者一同

目次
Ⅰ生物統計学の基礎
1 データの整理
 1.1 データの種類

2 データの特徴の把握
 2.1 一変量の場合
 2.2 二変量の場合
  2.2.1 量的変数と量的変数の関係
  2.2.2 質的変数と量的変数の関係
  2.2.3 質的変数と質的変数の関係

3 データの分布と特性値
 3.1 データの分布を代表する値
  3.1.1 平均値
  3.1.2 中央値(メジアン)
  3.1.3 最頻値(モード)
  3.1.4 平均値,中央値と最頻値の関係
 3.2 データの広がりを示す指標(分散,標準偏差,変動係数)
  3.2.1 分散と標準偏差
  3.2.2 変動係数
 3.3 箱ひげ図
演習:分析ツールのインストール,基本統計量の読み方
Topic:対数変換によるデータの正規化

Ⅱ推測統計学の基礎
1 母集団と標本
 1.1 無作為抽出とランダム(無作為)割付け
  1.1.1 無作為抽出法
  1.1.2 ランダム割付け
  1.1.3 標本の大きさ(標本サイズ),標本数

2 確率変数と確率分布
 2.1 二項分布
  2.1.1 二項分布の平均と分散
  2.1.2 二項分布のグラフ
  2.1.3 Excelの関数と計算例
 2.2 ポアソン分布
  2.2.1 ポアソン分布
  2.2.2 ポアソン分布の平均と分散
  2.2.3 ポアソン分布のグラフ
  2.2.4 Excelの関数と計算例
 2.3 正規分布
  2.3.1 正規分布
  2.3.2 正規分布の平均値と分散
  2.3.3 Excelの関数と計算例
  2.3.4 二項分布の正規分布近似
 2.4 標本平均の分布
 2.5 中心極限定理
 2.6 χ2分布,t分布,F分布
  2.6.1 χ2分布
  2.6.2 t分布
  2.6.3 F分布
  2.6.4 自由度
 2.7 標準誤差と標準偏差
演習問題
Topic:標準偏差(SD)と標準誤差(SE)との使い分け

3 母集団についての推定
 3.1 点推定と区間推定
 3.2 95%信頼区間(母平均,母比率)
  3.2.1 標本が大きいときの95%信頼区間
  3.2.2 標本が小さいときの95%信頼区間
演習問題
Topic:添付文書に記載のない副作用の発現確率

4 統計的仮説検定
 4.1 帰無仮説の概念,対立仮説,p値
 4.2 有意水準と有意確率
 4.3 第1種の過誤と第2種の過誤
Topic:両側検定と片側検定

5 二群間の平均値の差の検定
 5.1 母平均の差の検定
 5.2 母平均の差の推定
 5.3 t分布
 5.4 分散比の検定
 5.5 ウエルチの検定
 5.6 ウイルコクソンの順位和検定・マンホイットニーのU検定
演習問題
Topic:対応のある検定と対応のない検定

6 二群間の比率の検定
 6.1 2×2分割表とχ2検定
  6.1.1 χ2検定の手順
 6.2 χ2検定
  6.2.1 χ2検定の手順
演習問題
Topic: Fisherの確率計算法

7 多群の比較
 7.1 分散分析
 7.2 検定を繰り返すことの問題点,Tukeyの方法,Dunnettの方法
  7.2.1 検定を繰り返すことの問題点
  7.2.2 Tukeyの方法
  7.2.3 Dunnettの方法帰分析
  7.2.4 その他の多重比較法
演習問題
Topic:傾向性の検定(Cochran Armitage検定)

8 相関分析と回帰分析
 8.1 相関分析
  8.1.1 散布図
  8.1.2 相関係数
  8.1.3 相関係数の検定
  8.1.4 相関係数の95%信頼区間
 8.2 回帰分析
  8.2.1 単回帰分析
  8.2.2 最小二乗法による回帰式の決定
  8.2.3 決定係数
  8.2.4 回帰直線の検定
  8.2.5 相関係数rと決定係数r2
  8.2.6 検量線の作成
演習問題
Topic:非線形最小二乗法:y=A[exp(−Bt)−exp(−Ct)]への回帰,ソルバーの使い方

9 多変量解析
 9.1 重回帰分析
  9.1.1 重回帰分析の結果の解釈
 9.2 ロジスティック重回帰分析

Ⅲ臨床への応用
1 臨床試験のデザイン
 1.1 後ろ向き研究
 1.2 コホート研究
  1.2.1 前向きコホート研究
  1.2.2 後ろ向きコホート研究
 1.3 クロスオーバー試験
 1.4 ランダム化比較試験
Topic:ロジスティック回帰分析

2 経時データの解析
 2.1 生存時間分析
 2.2 生存時間曲線(Kaplan-Meier曲線)
 2.3 ログランク検定
Topic:比例ハザードモデルとCox回帰

3 リスク因子の評価
 3.1 リスク比
 3.2 オッズ比
 3.2.1 オッズ比とロジスティック単回帰モデル
演習問題
Topic:他因子の影響を調節したオッズ比
Topic:交絡因子

4 臨床試験を実施する際の問題
 4.1 交互作用と交絡因子
 4.2 バイアス(偏り)
 4.3 エンドポイントと必要治療数
 4.3.1 エンドポイント
 4.3.2 治療必要数
Topic:例数設計

5 EBMの考え方
 5.1 ランダム化比較試験からのエビデンス評価
  5.1.1 研究の結果は妥当か
  5.1.2 結果はなにか
  5.1.3 患者への適用
 5.2 システマティックレビューとメタアナリシス
 5.3 臨床試験デザインとエビデンスレベル
Topic:漸近分散法によるメタアナリシス
Topic:メディカル ライティング

付 録
1 臨床試験のガイドラインと統計的原則
 1.1 臨床試験ガイドライン
 1.2 臨床試験の一般指針(ICH-E8ガイドライン)
 1.3 臨床試験のための統計的原則(ICH-E9ガイドライン)

2 統計処理とコンピュータ

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