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化学
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役にたつガスクロ分析

分析機器で最も汎用性の高い,ガスクロマトグラフィーの基礎から実践までを記載したマニュアル書

役にたつガスクロ分析

品切れ
代島茂樹(アジレント・テクノロジー)監修
保母敏行(東京都立大学名誉教授)監修
前田恒昭(産業技術総合研究所)監修
(社)日本分析化学会ガスクロマトグラフィー研究懇談会 編
著者一覧
[みみずく舎:発行]
B5判,216頁,1色刷
2010/07/29発行
¥3,520(本体¥3,200+税¥320)
ISBN 978-4-86399-032-6
ガスクロマトグラフを使ってよりよい結果を得るための基礎を学習。
クロマトグラムのもつ情報を読み解く知識を得る。
普段使っているガスクロマトグラフの中で何が起こっているか、理論はどのように活かされているかを学習。
教科書の内容が実際の結果にどのように繋がっているかを理解。
環境、食品、香料、石油・燃料、裁判化学、医薬品、一般工業化学、光学分割などなど様々な領域への応用実例を掲載。

まえがき
 日本分析化学会の中にガスクロマトグラフィー研究懇談会が設立され,活動を開始したのは1958年である.気-液分配系を用いたガスクロマトグラフィー(GC)のアイデアがJamesとMartinにより実現した1952年からの年数から考えると,いかにGCの発展が急であったかが窺われる.その後300回を超える例会その他の活動を続けてきたが,1995年の第200回例会を契機に,実習を含むキャピラリーカラムGCの講習会を開始した.
 充てんカラムからキャピラリーカラムに移行していく時代に合わせて「充てんカラムは使用しているが,キャピラリーカラムはこれから」,「キャピラリーカラムは使用しているが,そのノウハウは十分会得していない」等の方々を対象にしてきた.また,講習会のテキストとなる入門書の出版も行い,これまで活用してきた.
 一方,実習の内容を理解し易く盛り込んだ出版も要望されるようになってきた.そこで,懇談会創立50周年を機に,ある程度ガスクロマトグラフを使ったが,改めてよりよい応用結果を得るために基礎を学び,クロマトグラムの持つ情報を読み解く知識を得たい,普段使っているガスクロマトグラフの中で何が起こっているか,教科書に書いてある事が実際の結果にどのように繋がっているかを知りたい,という方々を対象に,新たな教科書出版を計画し,結実したのが本書である.
 GCの隆盛期にその発展,活用にたずさわったガスクロマトグラファーの多くが引退しつつある.一方,GCに試料を入れると,そこそこのデータがでてしまい,原理がわからなくても結果がでればよいという使い方もされて,将来を危ぶむ向きもある.
 そこで,先人の経験を役立てられるようにすると共に,GCを基礎から学ぶことができるよう,本書を企画した.
 本書には,ガスクロマトグラフ質量分析計の普及や近年の最新の話題なども取り入れ,きちんと基礎を理解し,よりよい結果を得るために,実際の装置の中で何が起こっているか,理論はどのように活かされるのか,という点など,理解を助ける記述をたくさん盛り込んだつもりである.
 執筆は,これまでの講習会で講師を務め,講義資料や実際の実習を行ってきた運営委員多数が分担した.
 読者の皆さんが本書で,GCの可能性と多様性に触れられて,より進んだ成果,新しい発展が導き出されることを期待したい.
 多数の執筆者による記述をまとめるにあたり,用語や記述の統一を試みたが,十分とは言えない面もあろうかと思われる.読者の方々からのご批判をお待ちする.
 おわりに,本書の出版に当たり,大変お世話をいただいたみみずく舎/医学評論社の編集部の方々に心から御礼申し上げる.
  2010年7月1日

監修者
代島 茂樹
保母 敏行
前田 恒昭

目次
1. ガスクロマトグラフ法
 1.1 ガスクロマトグラフィーの歴史
  1.1.1 創始と普及
  1.1.2 広範囲な分野への展開
  1.1.3 高度化と応用分野の発展
 1.2 ガスクロマトグラフィーの原理
  1.2.1 分配平衡
  1.2.2 成分の分離
  1.2.3 保持指標
  1.2.4 理論段数
  1.2.5 理論段相当高さ
  1.2.6 分離度
  1.2.7 ピーク形状
  1.2.8 定性分析
  1.2.9 定量分析
 1.3 装置と測定操作の概要
  1.3.1 装置の概要
  1.3.2 測定操作の概要
 1.4 GC/MSの基礎
  1.4.1 GC/MSシステム
  1.4.2 GC/MSにおけるGC
  1.4.3 GC/MSにおけるインターフェイス部
  1.4.4 GC/MSで用いられるイオン化
  1.4.5 GC/MSにおける質量分離部(アナライザー)
  1.4.6 検出部
  1.4.7 真空排気部
  1.4.8 GC/MSにおける測定とデータ
  1.4.9 データ解析(定性と定量)
2. ガスクロマトグラフィーの基礎
―試料注入・分離と検出のメカニズム―
 2.1 試料導入部の役割と種類
  2.1.1 充てんカラム用試料導入部
  2.1.2 キャピラリーカラム用試料導入部
 2.2 カラムの種類と特性
  2.2.1 充てんカラム
  2.2.2 キャピラリーカラム
 2.3 検出器の原理と特徴
  2.3.1 概要と分類
  2.3.2 水素炎イオン化検出器(FID)
  2.3.3 熱伝導度検出器(TCD)
  2.3.4 電子捕獲検出器(ECD)
  2.3.5 熱イオン化検出器(TID)
  2.3.6 炎光光度検出器(FPD)
  2.3.7 パルス形炎光光度検出器(PFPD)
  2.3.8 化学発光検出器(CLD)
  2.3.9 光イオン化検出器(PID)
  2.3.10 フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR)
  2.3.11 原子発光検出器(AED)
 2.4 各種試料前処理,導入装置の実際
  2.4.1 固相抽出法
  2.4.2 固相マイクロ抽出法
  2.4.3 ガス抽出・ガスストリッピング法
  2.4.4 容器採取(キャニスター)法
  2.4.5 スターバー抽出法
  2.4.6 吸着捕集法
  2.4.7 熱抽出法
  2.4.8 誘導体化
3. ガスクロマトグラフィーの理論と実習
 3.1 試料前処理
  3.1.1 水中の揮発性有機化合物の捕集
  3.1.2 残留農薬測定のための固相抽出処理
  3.1.3 スターバー抽出
  3.1.4 大気粒子中の半揮発性有機化合物の熱抽出法
  3.1.5 誘導体化
 3.2 各種試料注入法
  3.2.1 スプリット注入法
  3.2.2 スプリットレス注入法
  3.2.3 直接注入法
  3.2.4 コールドオンカラム注入法
  3.2.5 昇温気化注入 (PTV) 法
 3.3 カラムの選択と分離の調整
  3.3.1 充てんカラムかキャピラリーカラムか
  3.3.2 カラム内径,膜厚と分離の関係
  3.3.3 固定相液体の選択
  3.3.4 キャリヤーガスの種類
  3.3.5 カラムパラメーターの計算と分離の調整
 3.4 定性分析
  3.4.1 保持値の利用
  3.4.2 選択的検出器の利用
 3.5 定量分析
  3.5.1 絶対検量線法
  3.5.2 面積百分率法と修正面積百分率法
  3.5.3 標準添加法
  3.5.4 内標準法
 3.6 定性・定量分析(GC/MSによる方法)
  3.6.1 GC/MSの測定法
  3.6.2 定性分析
  3.6.3 定量分析
 3.7 質量スペクトルの解析
  3.7.1 質量スペクトルとは
  3.7.2 電子イオン化(EI)法
  3.7.3 化学イオン化(CI)法
  3.7.4 ライブラリーサーチ(検索)による質量スペクトルの解析
  3.7.5 質量スペクトルの解析手順
 3.8 データ処理(パラメーターの設定と評価)
  3.8.1 波形処理パラメーター
  3.8.2 ピーク波形処理の確認
4. GCの応用
 4.1 JISに使われているGCとGC/MS
GCカラムメーカーのホームページ紹介
吸着・捕集剤とデータが掲載されているホームページ紹介
 4.2 環 境
 4.3 食 品
 4.4 香 料
 4.5 石油・燃料
 4.6 裁判化学
 4.7 医薬品
 4.8 一般工業化学
 4.9 光学分割
5. 二次元ガスクロマトグラフィ
 5.1 ハートカッティング2DGC (GC-GC)
  5.1.1 装 置
  5.1.2 応 用
 5.2 包括的2 DGC (GC×GC)
  5.2.1 原理と装置
  5.2.2 特 徴
  5.2.3 応 用
6. 情報管理システム
―ラボラトリーネットワークと情報セキュリティー―
 6.1 LIMSの構築
 6.2 LIMSによる品質管理
  6.2.1 規格判定機能
  6.2.2 統計解析やサマリー機能
 6.3 GXP対応システムと情報セキュリティー
 6.4 リモートアクセスによる遠隔サービス
参考文献
キーワード集
索引

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