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がん哲学外来コーディネーター

医療の「隙間」を埋める「コーディネーター」の意義や活動を紹介しつつ,医療現場や社会で今求められていることとは何かを考察

がん哲学外来コーディネーター

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樋野興夫(順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授/一般社団法人 がん哲学外来理事長)編
執筆者
A5判,172頁,1色刷
2013/09/27発行
¥2,200(本体¥2,000+税¥200)
ISBN 978-4-86399-214-6
医療の「隙間」を埋める試みとして開設され,大きな反響を呼んでいる「がん哲学外来」。その活動展開を担う「がん哲学外来コーディネーター」にスポットを当てる。
【実践編】では,コーディネーター設置のいきさつやその意義,具体的な活動事例を紹介しながら,現代の医療や社会に内在する問題や,患者・家族をはじめ当事者が真に求めていることとは何かを考察。
【理論編】では,日本のがんの現状(統計,国としての対策,主要ながんの概要)をわかりやすく解説。
がん問題やコーディネーターに興味をもたれた方々の入門書,実際にコーディネーターとして活動するに当たってのヒント集に。

 現在,多くの人ががんと診断され,がんが原因で死亡している。1981年以降,日本人の死亡原因の第1位ともなっている。
 当然ながら,国としてもさまざまな取り組みが進められており,たとえば,がん対策推進基本計画の一つとして,がん医療に関する相談支援・情報提供が挙げられている。
 しかし,患者の抱える不安や悩みは,病状や治療に関することのみではない。事務的な話にとどまらず,一人一人の人生に一歩踏み込んで対話することによって,その人の状況に応じた,その人が希望する在り方を尊重しつつ,今後の生き方を共に考えることが,「がん相談」の理想像ではないかと思う。
 とはいえ,多忙な医療現場では,病状や治療の説明だけで手一杯で,患者と十分に対話する時間的余裕はないというのが現状である。
 「がん哲学外来」は,その理想を実現化する,すなわち,医療における「隙間」を埋める一つの試みとして開設したものである。予想外に,しかし幸いにも,多くの賛同者を得るに至り,NPO法人化(今年7月に,一般社団法人化へと進展),さらには,そこから派生して設立された「がん哲学外来市民学会」を通して,全国でネットワークを形成しながら,活動を展開している。
 そして,そのネットワーク形成の役割を担う人材として提案され,今後の活躍が期待されるのが,本書のメインテーマ「がん哲学外来コーディネーター」である。コーディネーターには,「一般社団法人がん哲学外来」により年に一度(2013年現在)開催されている「養成講座」を受講すれば,誰でもなることができる。
 たとえば,がん哲学外来の活動展開の一つの形として,「カフェ」の運営がある。がん患者・家族,医療従事者,その他が,お茶を飲みながらリラックスした雰囲気で自由に語り合い,交流をもつ場である。病院内に設置されているケースもあるが,主に,地域の有志により全国各地で次々と開催されてきている。各地域の特色を活かした取り組みや多様性が見受けられ,大変頼もしく,また,興味深い。
 しかしその一方で,カフェ活動の質を維持し,問題の発生を未然に防ぐための仕組み,いわば「共通の規範」を設けることも必要かつ重要となってくる。そのような規範を身に着けた人材,「がん哲学外来コーディネーター」がカフェスタッフの中にいれば心強い。その養成が「一般社団法人がん哲学外来」の主導によるものであるという意味で,社会的な信頼も担保できよう。
 本書では,「がん哲学外来コーディネーター」設置が提案されたいきさつやその願い,そして具体的な活動事例を紹介しつつ,現代の医療,ひいては社会の抱える問題点,患者・家族をはじめ当事者が本当に求めていることとは何かを考察する。
 すでにコーディネーターとして活躍中の方々や関係者からも,多数執筆していただいた。現在の日本のがん事情について解説した章も設けてある。がん問題やコーディネーターに興味をもたれた方々にとってよき入門書として,また,実際に活動するに当たってのヒント集として,ご活用いただければ幸いである。
 2013年8月

編者 樋野興夫  

目次

Ⅰ 実践編
1.今,求められていること
 1.1 「がん哲学外来」とは
  a.対話型外来という試み
  b.がん哲学外来の役割
 1.2 「がん哲学外来コーディネーター」とは
  a.コーディネーターの使命
  b.コーディネーターに求められる素養
 1.3 各地で展開するがん哲学外来
  横浜がん哲学外来
  東久留米がん哲学外来
  東京土建国民健康保険組合がん哲学外来
  吉田富三記念福島がん哲学外来
  富士山記念山梨がん哲学外来
  浅井三姉妹記念福井がん哲学外来
  佐久がん哲学外来ひとときカフェ
  がん哲学外来お茶の水メディカル・カフェin OCC
  多摩市立グリーンライブセンター河井道記念恵泉がん哲学外来グリーンライブ・カフェ
  内村鑑三記念メディカルカフェ・沼田がん哲学外来
  がん哲学外来カフェin万座
  福井県済生会病院メディカルカフェ
  神谷美恵子記念がん哲学外来カフェin長島愛生園

2.当事者の思い
 2.1 医療従事者の立場から
  a.自分にとってのがん哲学外来─触れるか触れないかの感じで手を差しのべる場所─
  b.がんの痛みを取り除く─がん緩和治療内科医の視点から─
  c.スピリチュアルペイン軽減のために
  d.がんと共に生きる人を支えるために
  e.保健や福祉の「隙間」を埋める─墨田区での取り組みを例に─
  f.地域住民の心に寄り添う空間づくりを
  g.「まちかど保健室」のような存在に─保険調剤薬局薬剤師として─
 2.2 患者・家族,市民の立場から
  a.語り合うだけで安心と慰めになる─「がん」を体験して─
  b.家族の「隙間」を埋めたがん哲学外来
  c.Yさんからの手紙
 2.3 さまざまなサポートの形
  a.患者に伴走する─退院支援から在宅ケア移行支援へ─
  b.院内患者支援員「ペイシェント・アドボケート」─米国の病院に見る患者支援─
  c.医療の隙間を埋める「がんサバイバー」

3.がんと共存する社会
  a.1人1人ががんを考え,がんを生きる社会へ
  b.認知症か,がんか─これからの高齢者介護─
  c.地域でともに生きる─慢性疾患ケアモデルを手がかりに─
  d.生きる意味を対話する

Ⅱ 理論編─がん学入門─
1.日本のがん統計
  a.主ながん疫学統計公開サイト
  b.日本人のがんの頻度
  c.日本人に多いがん・少ないがん
  d.年齢ごとに多いがん
  e.生命に関わるがん
  用語解説

2.国としての対策
  a.がん対策のあゆみ
  b.がん対策基本法の成立まで
  c.がん対策基本法の内容とその意義
  d.新しいがん対策推進基本計画のあらまし
  e.がん対策情報センターの役割
  f.がん診療連携拠点病院の役割と要件

3.主要ながんの概要
  a.血液腫瘍
  b.肺がん
  c.消化器がん
  d.乳がん

【特別寄稿】
「物語を生きる人間」という視点から (ノンフィクション作家・柳田邦男)

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