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動物も扱える 液クロ実験 -How to マニュアル

動物実験も加え、更に初心者向けに徹した内容−装置・メンテナンス、前処理、分離・検出、実験整理−

動物も扱える 液クロ実験 -How to マニュアル

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   紙書籍 
中村洋(東京理科大学薬学部教授)企画・監修
(社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会 編
[みみずく舎:発行]

B5判,232頁,1色刷
2010/09/09発行
¥3,520(本体¥3,200+税¥320)
ISBN 978-4-86399-024-1
好評発売中の「液クロ実験 How to マニュアル」の続編。
初心者向けに徹した構成と内容:実験の準備から装置・メンテナンス、基本操作・前処理、分離、検出、動物実験、実験整理にいたる領域での85項目について解説。
新設の動物実験では八つの項目を新たに掲載。
実験場の疑問や迷いに的確な判断と正しい解決法を提供し、初心者も熟読すればたちどころに疑問が雲散霧消!

ま え が き
 1967年の春,筆者は分析化学研究室の学部4年生となり,それ以来分析化学を専門としてきた.この40年余の間に科学技術の進展は目覚ましく,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の進歩にも隔世の感がある.実際,筆者自身の経験では初期のHPLC実験にはポンプ,ゲージの針が動くタイプの圧力計,検出器,ペンレコーダーなどのパーツを,それぞれ得意とする会社から購入し,自分でステンレス鋼管やテフロン管で配管しシステムを完成させたものである.従って,現在のHPLC装置と違って,むき出しの各パーツが全て一望できるため,ポンプや配管から液漏れがあってもすぐ分かり,自分でさっと直すのが当たり前であった.当時は,クロマトグラフィー管は透明な硬質ガラス製であり,試料を注入するたびにポンプを止めてセプタムにマイクロシリンジを突き刺す方式で注入した.ポストカラム誘導体化を行う場合には,ステンレス鋼管で作った反応コイルを水が入った洗面器に漬け,そこに投げ込みヒーターを入れて温度調節をするといった,プリミティブであるが誠に分かりやすい装置であった.その反面,システムが手作りであるため,あちこちで液漏れが起こることも珍しくはなく,調子が悪いと1日の3分の1から半分は液漏れ対策に追われ,指先の皮膚がぼろぼろになることもあった.
 こういった数十年前の状況に比べると,現在のHPLC装置はスマートに一体化され,かつインテリジェント化もされている.さらに,前処理用の便利な各種器材も手に入るから余り手を汚すこともない.近頃のHPLC実験は,差詰“お姫様実験”である.現在,現場で使用されているHPLC装置は,往時のものとは比較にならないほど高機能化されているのは事実である.しかし,故障が起こるとその部品に限らず基板ごとそっくり交換しなければならない不都合さに加え,何よりも装置を構成する要素が使用者の目に入る構造になっていない点が,装置に対する本質的な理解を妨げる原因となっている.従って,故障しても使用者が手を下す機会がどんどん減ってきており,ポンプの液漏れ修理をメーカーに依頼する事態まで起きている.ユーザーの機器修理能力の急激な低下は,機器の高度化が齎した必然的な弊害と言えよう.
 本書は,このような状況下に少しでも多くの読者がHPLC装置の機能と本質を理解した上で立派な報告書や論文が書けるよう,HPLC実験に役立つ準備,装置類の実務的なメンテナンス,基本的な化学操作・前処理,分離・検出の実例などを盛り込むことに努めた.特に,最近は薬物動態研究の高まりにより,動物実験とHPLC実験が不即不離であることから,HPLC関係の実務書としては初めて動物実験を行う際の要点に触れた.本書がこの分野の方々のお役に立つことを願っている.
 最後に,丁寧な編集を戴いたみみずく舎/医学評論社の編集部の方々に心より感謝します.

 平成22年8月
企画・監修 中村 洋

目次
1章 実 験 準 備
 1 情報・文献を検索する
 2 分析法を設計する─検出器の選択─
 3 HPLC装置を選定する
 4 HPLC装置を設置する
 5 HPLC装置のバリデーションを行う
 6 システム適合性試験を行う
 7 関連法令等に対応する

2章 装置・メンテナンス
 8 装置を移動し,設置する
 9 液クロ用の工具を使う
 10 アースをとる
 11 ユニオンで継ぐ
 12 ねじを締める
 13 検出器の時定数を調節する
 14 ラインの泡抜きをする
 15 流量をはかる
 16 メンテナンスの戦略
 17 超純水装置をメンテナンスする
 18 充てん剤型カラムをメンテナンスする
 19 モノリス型カラムをメンテナンスする
 20 光学活性カラムをメンテナンスする
 21 プランジャーシールを交換する
 22 ポンプをメンテナンスする
 23 オートサンプラーをメンテナンスする
 24 示差屈折率検出器をメンテナンスする
 25 紫外可視吸光検出器をメンテナンスする
 26 蛍光検出器をメンテナンスする
 27 電気化学検出器をメンテナンスする
 28 円二色性検出器をメンテナンスする
 29 旋光度検出器をメンテナンスする
 30 蒸発光散乱検出器をメンテナンスする
 31 荷電化粒子検出器をメンテナンスする
 32 質量分析計をメンテナンスする

3章 基本操作・前処理
 33 質量をはかる
 34 体積をはかる
 35 攪拌する
 36 加温・加熱する
 37 ガラス器具を洗浄・乾燥・保管する
 38 消火する
 39 脱水・乾燥する
 40 溶媒を保管する
 41 カラムを保管する
 42 試薬を保管する
 43 防腐剤を使う
 44 溶媒を飛ばす
 45 ホモジナイズする
 46 試料を超音波処理する
 47 溶媒抽出を行う
 48 加水分解する
 49 アフィニティークロマトグラフィー用溶離液
 50 溶離液をろ過する
 51 固相抽出基材を廃棄する
 52 廃溶媒を廃棄する

4章 分   離
 53 イオン交換樹脂をつくる
 54 イオン交換樹脂で分離する
 55 アフィニティー担体をつくる
 56 アフィニティー担体で分離する
 57 陰イオンを分ける
 58 胆汁酸を分ける
 59 プロスタグランジンを分ける
 60 脂質を分ける
 61 カテコールアミン類を分ける
 62 ポリアミン類を分ける
 63 水溶性ビタミンを分ける
 64 脂溶性ビタミンを分ける
 65 オリゴDNAを分ける
 66 環境ホルモンを分ける
 67 多環芳香族化合物を分ける

5章 検   出 169
 68 塩基性物質をポストカラム蛍光検出する
 69 ヒドロキシル基をプレカラム誘導体化する
 70 ダイヤモンド電極で検出する

6章 動 物 実 験
 71 飼料を選ぶ
 72 病態モデル動物を作製する
 73 経口投与する
 74 静脈内投与をする
 75 腹腔内投与をする
 76 採尿・採糞する
 77 採血する
 78 呼気を集める

7章 実 験 整 理
 79 絶対検量線法で定量する
 80 内標準法で定量する
 81 標準添加法で定量する
 82 報告書を作成する
 83 講演要旨を作成する
 84 学会で発表する
 85 専門誌に投稿する

索 引

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